ティーマ・別注マグ「ABLOY」…フィンランドで最も重要な発明をした男

ABLOYって?

ABLOYは、回転式ディスクタンブラー錠の発明に起源をもつ、セキュリティ商品総合メーカーです。フィンランド企業です。

錠前、パドロック(南京錠)、電気機械式錠、ドアクローザーは世界トップクラス
著名フィンランド人デザイナーが手掛けたドアハンドルなどの建具金物も製造しています。

鍵、錠、錠前のちがいがわからなくなったので(笑)復習してみました。

鍵(かぎ):「錠」の開閉動作をするための器具。keyのこと。
錠(じょう):戸や窓、扉などを開かないように固定するための機構。lockのこと。
錠前(じょうまえ):「錠」と「鍵」のセットのこと。

ABLOYのセキュリティ商品は、一般家庭から世界的な重要施設に至るまで幅広く展開。
なんと、大英博物館、エッフェル塔、パナマ運河も、ABLOYによって守られているとのこと。
発電所、水道、鉄道、道路、通信といった社会インフラ設備、銀行や病院などセキュリティを重要視する多くの施設が、ABLOYを選択しています。

国内外で存在感を見せるABLOYは、Taloustutkimus Oyによるフィンランドのブランド評価調査(2020)において、調査対象500ブランド中「最も尊敬されているトップ10ブランド」第6位にランクインしました。

ABLOY創業のきっかけとなった発明が誕生して110年を迎えた2017年。
その発明者にスポットライトを当てたムービーが公開されました。
マグに描かれた横顔の男性が、発明者であるEmil Henriksson

彼がアイデアを思いつくのは、動画のどのあたりか注目です!
とてもカッコいいショートムービーですよ。(トータル1:30)

The Immortal Mr. Henriksson
発明誕生から110年を迎えた2017年に公開されたスペシャルムービー。

このマグを深ボリ!

上のムービーはご覧になりましたか?
劇中での彼のシルクハット姿が、マグに描かれた横顔に重なりますね。

2017年のメモリアルイヤーには、このマグが参加者に配布されるイベントが開催されました。これらの中で最大のものは、『Tuntematon sotilas (邦題:アンノウンソルジャー 英雄なき戦場』のフィルムツアー。合計4,000個以上のマグカップが制作されたようです。

発明の誕生

Emil Henriksson:1886–1959は、ヘルシンキ出身の機械工です。
1907年、機械式レジスターを修理している時、回転する円筒形のディスクが、鍵の開閉構造として非常に適していることに気がつきます。(ムービーの0:20付近)

彼は、その仕組みをカギの開閉構造として完成させ、1918年7月に特許出願
翌1919年に、「Henriksson’s Patent Lock(Henrikssonの特許錠)」というタイトルで特許登録されました。
「Henrikssonの特許錠」の特徴は、「切欠きを有する複数枚のディスクタンブラー」と「ロッキングバー」を組み合わせることで、耐ピッキング性能を高めたことにあります。
この特徴は、現行のABLOY錠においても採用されており、ロゴにも「切欠きを有する複数枚のディスクタンブラー」を見つけることができます。

Wikimedia Commonsより入手

1918年7月に特許出願って!
フィンランド独立後の内戦が終わったのが1918年5月だから…そんな混乱期の行政手続きってどんな感じなんだろう?!

なお、「Henrikssonの特許錠」は、フィンランド発明財団によってフィンランドで最も重要な発明に指定されました(1999年)。

ABLOYの由来

1918年7月に特許出願を終えたHenrikssonは、錠前の製造・販売に向けて動き出します。
彼は、業界や財務に詳しい人を協力者に迎え入れ、同年11月、Ab Låsfabriken-Lukkotehdas Oyを設立。量産化にこぎつけました。

さて、設立時の長い社名ですが、1919年には短縮化され、Ab Abloy Oyに変更。
Abloyというブランド名も、このとき決定されました。

当初の社名からアルファベット5文字とると…
Ab Låsfabriken-Lukkotehdas Oy =AB(スウェーデン語で株式会社の意味)+Lukko(フィンランド語での意味)+フィンランド語で株式会社を表すOy

マイABLOYを紹介します

フィンランドの家で使っていた鍵。
ABLOY SENTOというモデルです。ブラックの鍵の持ち手に、オレンジ色がアクセントで入っているのが好み。現在、特許権と意匠権で保護されており、街の合鍵店へ持ち込んでも複製することができません。

下のパドロックは、ABLOYのクラシック・モデル(型番:3020C)。
本体の真鍮カラーに、クラシックな字体でabloyと書かれているのがお気に入りポイント。シャックルに彫られたFINLANDの文字もいいですよね。

皆さんのお家にある鍵は、どんな鍵ですか?
日本国内での流通が始まったのは2002年からなので、それ以降に鍵を手配された方はABLOYのオーナーかもしれませんよ!


【参考文献】
・ABLOY Oy, https://www.abloy.com.au/en/about-abloy/history-and-today/
・Helsingin Yliopisto, https://www2.helsinki.fi/fi/uutiset/luonnontieteet/emil-henriksson-abloy-lukon-keksija-ja-kemian-osaston-mekaanikko
・Kolster Oy Ab, https://www.kolster.fi/en/blog/abloy-the-lock-that-cant-be-picked

コメント

タイトルとURLをコピーしました